父母・県民の立場から教育を考える場をつくりましょう!
いま愛知では、心ある父母、教職員、専門家の努力で、子ども・青年が人間 らしく育つ教育・文化の環境を創ろうとする動きが県下の各地に起きています。
高校入試制度の改善を求める運動、県下各地域の教育・子育ての会」の活動、 「新学習指導要領の白紙撤回を求める」運動、「子どもを中心にすえた学校」づくりへの取り組み、子どもの文化にかかわる諸団体の活動、などなどです。
このように、子育てと教育にかかわるさまざまな努力が、多くの困難の中でも続けられ、それぞれの分野、地域で一定の成果を得てきてはいるのですが、子どもと教育をとりまく深刻な事態を抜本的に解決する方向は未だ見えていま せん。子どもと教育をとりまく現在の事態を確実に変えていくためには、それぞれの実践や運動や研究をさらに発展させると同時に、それらの実践・運動・研究の間の連帯と共同をいっそう密にしていく必要があるのではないかと考え ます。
また、県下の子ども・青年の問題を考える場合、私たちは共通して、「自分のまわりの子どもたちだけでなく、県内のすべての子どもたちの健やかな成長を願う」という立場にたち、「幼児期から青年期までの、人間の発達の全過程 を見通す」という視点を持つ必要があると思います。勿論、考え方としてはみ んながそう思っているのですが、従来、お互いにそれぞれの問題にとらわれるあまり、この点での確認は必ずしも十分ではなく、結果として、せっかくのそれぞれの運動が統一的な力を発揮し得ないできたという一面があるように思 います。
愛知の子ども・青年の教育を守り、育てるための諸活動を総合的に発展させるためには、父母、教職員、研究者、専 門家など、いろいろな職種、立場の人が、上に述べた共通の立場と視点とをふまえながら、共同して一つひとつの問題について継続的に研究・討議し、共通した 方向を探るためのセンターがぜひ必要ではないかと思います。そしてそのセンターは行政や特定の団体に依存するのではなく、すべての子ども・青年の健やかな 成長を願う広範な父母・県民の手によって支えられるものでなければならないと考えます。
以上のような主旨から、「あいち県民教育研究所」の設立を呼びかけるものです。
1991年5月26日 あいち県民教育研究所設立総会